4月は君のぬくもり
第1章 プロローグ
あれは一年前の四月。
明日が始業式という前日、私は高校時代の友達三人とカラオケに来ていた。
私が歌い終わるとみんなは口々に言う。
「いつ聞いても引き込まれるよねー、由衣の歌声」
「さすがだよね。心がこもってていいよ」
「由衣。ほらテレビでやってるじゃん、カラオケ選手権大会とかさ。由衣も出てみたらどう?絶対チャンピオンになれるわよ」
「やだー。テレビなんて恥ずかしくて、私絶対出たくないから」
まぁ、本気で歌っちゃう私も私だけどね。友達はありがたくも褒め称えてくれるのだ。
私は音大の声楽科を卒業後、現在の高校に赴任してきた。
この新学期から、いきなり三年生の担任を任せられる事になって。
今から責任の重圧と緊張感で胸が押し潰されそうになっていた。