4月は君のぬくもり
第5章 内緒の同居生活
その日私は学校の仕事を終えると、自宅に戻っていた。
津田君と同居するため、身の回りの物を持ち出す事と、母を説得するためだった。
リビングのテーブルには、私と母と姉の麻衣(マイ)が座っていた。父は単身赴任で不在である。
突然の私の話に、母は困惑した。
「じゃあ由衣ちゃんは、これからその女子生徒さんと住んで面倒を見てあげるっていうのね?」
「ええ、そうよママ」
「でもどうしてあなたがそこまでするの?」
「このままだとあの子はほんとにだめになっちゃうの。お願い!私のわがままを許して。あの子が卒業するまで、そばで見守ってあげたいの」
「あなたの気持ちはわかるわ。だけど、それは大変なことなのよ…」
「わかってる」
「あたしは由衣のしたいようにすればいいと思うよ」
じっと聞いていた姉が口を開いた。
「麻衣ちゃんあなたまでっ」
すっかり途方にくれた母に、私は胸が痛かった。
「その生徒さんはきっと、由衣にしか救ってあげられないんじゃないかな」
「お姉ちゃん…」
姉とは子供の頃よくケンカもしたけど、大人になった今では私の一番の理解者だった。