4月は君のぬくもり
第5章 内緒の同居生活
晶午side
朝がきた。
俺はまた一睡もできなかった。
人と一緒に暮らすのが久しぶりで、ましてやそれが由衣なんだから。
夜中俺は、ふすま一枚隔てただけの隣の部屋が気になってしょうがなかった。
何度も寝返りを打ち、眠ろうと努力しても目が冴え渡って。
俺は頭を掻きながら、自分の部屋から出た。
そこはすぐ台所、だが。
うっ…!!
目の前の光景に俺はとても動揺したのだった。
なんと由衣が、女らしいエプロンをして朝食を作っているではないか。
そ、そうだ。朝の挨拶しなきゃ。
でも、声を掛けるのが気恥ずかしい…。
すると由衣が振り返った。
そして俺を見ると言った。
「おはよう!晶午」
うわ〜っ、由衣が満面の笑みで俺の名を呼んだ!
「お、おはよ…」
俺はそそくさと洗面所に向かう…しかなかった。