4月は君のぬくもり
第5章 内緒の同居生活
晶午side
カチャ
テレビを見ていると、由衣が風呂から上がってきた音がした。
「やばっ…」
俺はそそくさと自分の部屋へ戻る。
由衣がこの家に来て、居間兼由衣の部屋になったわけで。
おかげでテレビが自由に見られなくなってしまった。
さっきの夕食中、俺は自分で言い出したのになかなか"由衣"と呼べなくて、いつ言おうかチャンスを伺っていた。
−−−−
俺は由衣から次々と出る話に、ほとんど聞き役だった。
「ねえ、晶午も何か話してよ?私ばかりしゃべってるのやだ」
「え、」
やだって言われても、特に話す事はないし…。
由衣が俺をじっと見つめるから、俺は茶碗を差し出して
「…由衣おかわり」
と、ついに言ってしまったのだ。
すると由衣が
「お〜っ!やっと呼んでくれたわね?よしよし」
「ちょ…っ」
上機嫌で俺の頭を撫でてきた。
俺は恥ずかしくて顔が熱くなった。
いつの間にか俺は
由衣の色に染まってゆく。
これからもきっと。
そんな予感がしていた…。