4月は君のぬくもり
第10章 引き離された二人
部屋を出るとき、私と晶午はじっと見つめあった。
「俺、由衣が好きだ」
「私も晶午が好きっ」
お互いの気持ちを確認した私達は、
手を取り合って夜の道を駆けた。
どこへ行くあてもなく。
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だが、一台の車のライトが私と晶午を明るく照らし出した。
眩しい…。私は立ち止まり目の前に手をかざす。
「由衣、走るんだ」
バンッ、バンッ
止まった車両から降りてきたのは、やはり教頭と母だった。
「…っ!」
私と晶午は、つないでいた手を離した。
母が怒った顔で私にかけ寄ってくる。
「由衣ちゃん!あなたママを騙してたのね?女の子と暮らしてるなんて嘘じゃないのっ」
「ママごめんなさい、これにはわけがあるの!」
「とにかくママと一緒に帰るのよ」
母が私の腕を強く掴んだ。
「いやよ!私は帰らない!」
「由衣、いい加減にしなさい!自分が何をしているかわかっているの?」
「ママは何か誤解してる。私と津田君はそんなんじゃない」
いくら弁解しても教頭は固い表情だった。
「堀江先生、今日のところはどうかお母さんとお帰り下さい。続きは明日学校で伺います。津田、君にはしばらく自宅待機をしてもらう。いいね」
「えっ」