4月は君のぬくもり
第11章 終わらない想い
それから三日後。
私は次の授業に向かうところだった。
きのうは一人カラオケで三時間も歌っちゃった。
渡り廊下から外を眺めれば、青い空と、遠くの山々に縦横に美しく並ぶお茶畑が広がっていた。
「のどかだわ」
そして視線を前に移した私だったが、その目を大きく見開いた。
同時に胸の鼓動もドキドキ鳴りだした。
向こうから歩いてくる、黒い詰め襟の男子生徒…。
誰だろう…何年生かしら?…それにしても
似ている……!
「っ」
とうとう私おかしくなっちゃったのかな?
きっと幻に違いない。
毎日、毎日考えているから。
だから…
こんな誰も知り合いのいない町の
こんな広い校舎の中で会えた時には
ラッキー!
って、すごく嬉しくなるんだ。
「由衣」
私に優しく微笑む、その切れ長の涼しい目は…
間違いなく…
晶午だった。