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果てない空の向こう側【ARS】

第7章 ツバメ(和也)

和「よく俺の作品だってわかったね。」

俺は麦茶をひとくち飲んだ。

キンと冷えて、心までキュッと引き締まる気がした。

「わかるわよ。ほぼ本名だし、高校の時から絵が上手かったし。」

和「俺、絵を見せたことあったっけ?」

彼女も、麦茶をひとくち飲んだ。

そして、涼やかに笑って言った。

「委員会のポスターとか、文化祭のイラストの展示とか…。私、ずっと見てたから…。」

目を細めて笑う彼女は、やはりあの彼女だった。

あの時、勇気を出して告白してくれたのに、俺がハブられたりしたから、あれからほとんど話すこともなかった。

ハブられ者の俺なんかと関わると、彼女に迷惑がかかると思ったんだ。

「妹の部屋に和也くんのサイン色紙があって…。私の卒業アルバムとか同窓会名簿も勝手に見たみたいで、住所がわかったんだと思う。」

和「そういうことか…。」

俺は合点がいった。

「妹が、『五十嵐先生ってどんな人?』って聞くから『とってもカッコよくて、ちょっとシニカルで、すごく優しい人よ』って答えたの。」

和「やめてよ…。」

彼女はあらためて、俺に向き直って頭を下げた。

「妹が迷惑をかけてごめんなさい。」

和「いいよ、気にしないで。リリーは、俺の一番最初のファンだから…。」

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