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果てない空の向こう側【ARS】

第8章 握る(雅紀)

オロオロする俺に、おばさんが言った。

ミ母「順番が逆になっちゃったからね…。」

雅「順番って、やっぱりできちゃった婚は駄目ってことですか?」

母「ミッチャン、もっとはやく雅紀に言ってほしかったんじゃない?」

俺は訳がわからず頭をかしげた。

ミ母「娘は、ずっと雅紀くんのプロポーズ待ってたのよ。友達の結婚式から帰るたびにさみしそうな顔してたから。」

雅「え…。」

ミ父「雅紀くんは、子供ができなかったら娘と結婚する気にはならなかったのかね?」

俺、大切なこと忘れてた。

ミッチャンが好きすぎて、だからこそ、一番大切なこと忘れてた。

俺はミッチャンの部屋の前まで行くと、ドアをノックした。

雅「ミッチャン、入るよ…。」

俺がそっとドアを開けると、ミッチャンはクッションを抱いてベッドに座り込んでいた。

目を真っ赤にして、ぼろぼろと涙を流していた。

雅「ミッチャン、ごめん。俺、本当に馬鹿で頭悪くて空気読めなくて…。」

ミッチャンは、俺の顔を見ようとはしない。

雅「一番大切なこと忘れてた。」

俺は、ミッチャンの手からクッションを離して握った。

雅「ミッチャン、俺、ミッチャンのことが大好きでたまらないんだ。結婚、してください…。」

ミッチャンは大きく目を見開くと、さっきより大粒の涙をこぼした。

雅「ごめんね…。俺、赤ちゃんがいてもいなくても、あたりまえにミッチャンと結婚する気だったから…。」

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