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果てない空の向こう側【ARS】

第9章 ベトナムの空の下へ(翔)

俺はチェイサーを合間に、デンキブランを飲み干した。

おかわりを注文して2杯目を飲んでる俺を、母さんはしげしげと見つめた。

母「あんたは、本当に父さんに似てるわね。」

翔「そう?」

母「よく食べて、よく飲んで、よく働いて…。兄弟で、あんたが一番父さんに似てるわ。」

翔「そういえば、父さん時々飲んで帰って来て、寝てる俺たちを起こしてまわってたな。」

母さんと俺は、ひとしきり笑った。

母「あんたがよく働いて稼いでくれたから、母さん本当に助かったわ。」

翔「智兄が、ああだからね。」

母「あんたも、智みたいにやりたいことあったんじゃないの?」

俺は、口もとにグラスを運びかけた手を止めた。

確かに、自由に自分の夢を追いかけてる智兄をうらやましく思ったことはある。

でも…。

翔「俺は智兄みたいに自由にやってけるタイプじゃないよ。勤め人が向いてんだよ。」


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