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果てない空の向こう側【ARS】

第9章 ベトナムの空の下へ(翔)

和「月刊ストームは少年誌だけど、結構いるんだよね…。」

翔「何がだよ。」

台所で、智兄の味噌汁をかき込みながら聞き返した。

和「腐女子…。BLの兄弟モノとかいけるかも。」

俺は味噌汁を吹き出した。

智「びーえるって、なんだ?」

割烹着姿の智兄が、お玉片手に聞いてきた。

翔「智兄は知らなくていいよ!」

母「何が、知らなくていいって?」

夜勤明けから帰って来た母さんが、台所に顔を出した。

和「母さん、翔兄ったら、潤と…。」

翔「和也、うるせー黙れこのやろ!」

智「出た、帝王黒翔。」

和「ホントだよ。そんなだから翔兄はイケメンなのに彼女できないんだよ!」

翔「お前に言われたくねーよ!」

母「翔、ほら時間!」

母さんが、壁掛け時計を指さした。

翔「やべ! 行ってきます!」

鞄をつかんで台所を飛び出したら、背中から和也の笑い声が聞こえて来た。

翔「あいつ、マジコロス!」

俺は靴を突っかけて、駅へと走って行った。

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