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果てない空の向こう側【ARS】

第10章 ワンダフル・ワールド(潤)

そういえば、さっきもジーは俺の腕の中でもがいていたが、俺の方が力が勝っていた。

それは、恐怖でジーの体がこわばっていたのかもしれない。

ジー「気持ち悪いでしょ? この歳で経験なしなんて。わかったら帰って。もう来ないで。」

俺は頭の中がぐちゃぐちゃだった。

ジーが処女だったことも。

そんな過去があったことも。

頭がいっぱいで受け止められなかった。

俺は泣いてるジーをそのままに、工房を出た。

頭の中がパニックになりながら、家に向かって歩き出した。

山手にあるジーの工房から、下り坂をとぼとぼと歩いた。

高台のカーブから、神戸の夜景が見えた。

さっき、六甲山で見た夜景は宝石のように光輝いていたのに。

今見る景色は、やけに目にしみた。

潤「くっそ!」

俺はガードレールを思い切り蹴った。

蹴った拍子に、靴底がバリッとめくれた。

潤「あー、最悪…。」

俺は、道端に座り込んだ。

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