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果てない空の向こう側【ARS】

第10章 ワンダフル・ワールド(潤)

潤「翔兄、もっと丈夫な靴くれよ…。」

底が外れたのは、翔兄がくれたあのブーツだった。

ジーに直してもらったのとは反対側の足の底が外れた。

そういえば、ジーとの出会いもこんなだったな。

翔兄にもらったブーツの底が外れて途方にくれている時、ジーが通りかかったんだ。


『青年、どうした? 具合でも悪い?』


迷うことなく俺に声をかけてくれた。

俺は底が外れたブーツを見つめた。

潤「翔兄、俺どうすればいいんだよ…。」

当たり前だが、ブーツは何も言わない。

翔兄の声も聞こえない。

街の灯は、チラチラと揺れている。

俺は目を閉じた。

そのまぶたの裏に浮かぶ顔は…。

潤「何だよ、決まってんじゃん。」

俺は立ち上がり、底が外れたブーツのまま歩き出した。

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