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果てない空の向こう側【ARS】

第3章 四男・和也(漫画家)

次の月曜日、潤の休みの日。


潤「和兄、渋谷に行く? それとも裏原宿?」


和「パーティーなんてスーツでいいんじゃないの。スーツなら国道沿いの『紳士服の○山』でいいじゃん。」


俺は高校を卒業して、進学も就職もせず、家でずっと漫画を描いていた。


成人式にも出なかったから、スーツの一着も持っていなかった。


潤「駄目だよ、俺の店にも出版関係のお客さん来るけど、みんなめちゃくちゃオシャレだよ。和兄もバッチリ決めて行かなきゃ浮いちゃうよ。」


和「そうなの…?」


ますます不安になってきた。


潤「俺のなじみのショップがあるから、そこ行こうよ。」


そう言われて連れて来られたのは、裏原宿の路地の奥の隠れ家みたいな洒落た服屋。


潤「オーナー、こんにちは!」


オ「潤くん、久しぶりだね。えっと、弟さん?」


オーナーは、潤の後ろに隠れる俺を見た。

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