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果てない空の向こう側【ARS】

第3章 四男・和也(漫画家)

選んだのは、黒のスーツ。


よく見ると襟の形がちょっと変わっていて、洒落たデザインだった。


和「ホストみたいじゃない…?」


オ「いやいや、似合ってますよ。お兄さんて実は美形なんですね。」


和「え?」


潤「そうなんだよ、兄貴は顔は悪くないんだよ。ただ、身なりをかまわないから。」


オ「その寝癖頭なんとかしたらきっとモテますよ。」


和「…潤、それ買ってさっさと帰ろ…。」


会計をしてみたら、貧血を起こしそうなほど高かった。


和「そんなに持ってないよ…。」


俺は財布の中を見て、ため息をついた。


アシスタントの仕事は、先生が忙しい時だけだからそんなに給料はない。


潤「大丈夫だよ、ほら。」


潤がバッグから銀行の封筒を出して見せた。


潤「翔兄から預かってきた。『これでいいの買ってやれ』って。」


翔兄に感謝しつつ、そのお金で支払いを済ませ、そそくさと店をあとにした。


電車に乗って帰る途中、潤が話しかけてきた。


潤「さっきの話だけどさ…。和兄、昔はもっとちゃんとしてたじゃん。高校からそんなになっちゃって…。」

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