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果てない空の向こう側【ARS】

第3章 四男・和也(漫画家)

それは高校一年生の一学期の終業式のあと。


「五十嵐くん、好きなの。付き合ってくれない?」


誰もいない教室に呼び出された俺は、クラスメイトの女子から告白された。


「え…、あの…。」


その様子を、クラスの男子に見られた。


「おい五十嵐、お前何人の女から告白されてんだよ!」


先日は、下駄箱に他の女子からの手紙が入っていた。


「チャラチャラ調子乗ってんじゃねぇぞ…!」


夏休みが終わって学校に行ったら、クラスみんなからシカトされた。


完全にハブられていた。


告白を目撃した男子は、あの女子のことが好きだったらしい。


『何人もの女をたぶらかしている』そういう噂をたてられていた。


俺は何にもしてないのに…。


それからは、努めて身なりをかまわなくした。


寝癖頭、くたびれたシャツ、背を丸めて歩く…。


そうこうしているうちに二年生に進級し、シカトもなくなったが、女子に言い寄られることもなくなった。

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