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果てない空の向こう側【ARS】

第4章 二男・翔(商社勤務)

館内を見学しつつ階を上がって着いたのは最上階。


天守閣だ。


天守閣の回廊に出るガラス扉を開けると、大阪の町が一望できる。


母「すごいね、翔! いい眺め! …あれ、翔?」


俺はガラス扉をくぐることができずにいた。


大阪城、なめてた。


あべのハルカスは無理でも、大阪城くらいならなんとかなるだろうとタカをくくっていた。


しかし、大阪城の天守閣の回廊は、周囲に手すりがあるだけの吹きさらし。


怖すぎじゃねーか!


母「翔、おいでよ。そとは気持ちがいいよ。」


母さんが戻ってきて、俺の腕をつかんだ。


翔「いや、無理…!」


母さんは、ふふっと笑った。


母「大丈夫だよ、母さんがついてるから。ね?」


母さんは俺の腕を引いて回廊へと続くガラス扉を抜けた。

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