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果てない空の向こう側【ARS】

第4章 二男・翔(商社勤務)

ヒュウウ…


強い風が回廊を吹き抜ける。


足元に見える広場には、人が、アリのように小さく見える。


俺は壁にへばりついていた。


母さんは、俺の手をギュッと握った。


母「あんた、子供の頃から高い所駄目だったもんね。」


翔「こ、怖くなんかねーし…。」


母「小学校の遠足で東京タワーに登った時、泣き叫んで先生の脚にしがみついてたって話だしね。」


翔「……うっせぇ……。」


母「今日は母さんついてるから、安心して。」


翔「だから、うるせぇよ…。」


久しぶりにつないだ母さんの手は、とても小さく感じた。


母さんが年をとったからか、俺が大きくなったからか。


でも、母さんの手のぬくもりは相変わらずで。


俺の子供の頃のままの、あたたかい母さんのぬくもりだった。

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