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果てない空の向こう側【ARS】

第4章 二男・翔(商社勤務)

母「翔、写真撮ろうよ。智たちに見せなくちゃ。」


翔「い、いいよ、写真なんか…。」


母「駄目駄目、今度いつ翔と一緒に旅行できるかわかんないんだから。撮って?」


俺は、壁にへばりつきながら、しぶしぶスマホを取り出した。


そして、母さんと寄り添って写真を撮った。


母「なによ、ひどい顔。」


母さんは、写真に写った俺のひきつった顔を笑った。


蟹みたいに壁にへばりついて回廊を一周し、大阪城を出た。


城を出てすぐの広場で大道芸人が一輪車に乗ってジャグリングをしていた。


母「翔、ちょっと見ていこうよ。」


母さんは、大道芸が珍しいみたいで、目を輝かせて言った。

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