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果てない空の向こう側【ARS】

第4章 二男・翔(商社勤務)

観衆から拍手がわき起こり、パフォーマンスは終了した。


母さんはまわりの観衆にならって、パフォーマーが持つ帽子にコインを入れた。


母「大道芸って面白いね、初めて見たよ。」


串カツがふいになっていら立っている俺をよそに、母さんは上機嫌だった。


母さんは、父さんが亡くなってから働きづめで、遊びに出かける何てことはなかった。


大道芸なんてのんきに見に行くひまなんてなかったんだ。


翔「ったく、しょうがねぇな。予定変更だよ。」


俺と母さんは、駅前の立ち食いうどん店に入った。


店内に足を踏み入れると、とたんに昆布と鰹のだしの香りに包まれた。


食券を買って、母さんはわかめうどんを、俺は月見うどんといなり寿司を注文した。

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