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果てない空の向こう側【ARS】

第6章 五男・潤(美容師)

俺は嫌がる母さんを椅子に座らせ、ケープをかけた。


ブラシで髪をとかすと、薬剤を髪に塗り始めた。


そういえば、母さんの髪を染めてやるのなんて、いつ以来だろ。


俺はそんなことを思いながら、丁寧に薬剤を塗り進めた。


和也「何やってんのさ。」


リビングを通りかかった和兄が不思議そうにたずねた。


潤「見ればわかるだろ。母さんの白髪染めてんだよ。」


和「こんな時間に?」


和兄は納得できない様子で聞き返した。


潤「そ、こんな時間に。」


母「私もそう言ったんだけどね。」


母さんはちょっと困った様子だけど。


俺は構わず薬剤を塗り続けた。


和「母さん、そんなに白髪増えたんだしさ。もうそのままでもいいんじゃないの?」

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