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果てない空の向こう側【ARS】

第6章 五男・潤(美容師)

潤「駄目だよ、母さんも女だもん。きれいでいなくちゃ。」


母「なんだか今日の潤は変だね。」


母さんはそう言いながら笑った。


和「いいじゃん、そのままでも。」


潤「駄目。」


母「まあまあ…。潤は言い出すと聞かないから。」


すでにほとんどの薬剤を塗り終わっている。


和「まぁ、俺はいいけどさ…。」


和兄はそう言って、自室に戻って行った。


潤「母さん、一度サロンにおいでよ。」


母「いやよ。あんなオシャレな店には行けないわ。」


母さんは、一度も俺の勤めるサロンに来たことはない。


潤「オバサンもたくさん来るから、大丈夫だよ。」


母「いやだ、恥ずかしい。」


母さんは、絶対に首を縦には振らなかった。

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