龍虹記(りゅうこうき)~禁じられた恋~
第2章 流転~身代わりの妻~
臀部を熱した鉄棒でかき回されているかのような激痛が走る。以前、嘉瑛から背中に灼き鏝を当てられるという折檻を受けたけれど、もしかしたら、今回の痛みの方が強いかもしれない。
「痛い、痛い―」
一度は止まっていた涙が溢れ、頬を次々に濡らした。
「ん? どうした、痛むのか」
言葉とは裏腹に、何故か嘉瑛は嬉しげだった。千寿が涙ながらに痛みを訴えると、〝よしよし〟と言いながらも、更に千寿の中に深く強く押し入ってくる。
「あっ、い、痛いっ」
千寿は大粒の涙を流しながら、下半身を走るあまりの痛みに呻いた。
泣いて何かに縋ろうとした千寿の身体を嘉瑛が力を込めて引き寄せる。身体を隙間なく密着させると、嘉瑛のものがなおいっそう深く千寿の体内に食い込み、沈んでゆく。
「何で、こんな―」
涙で潤んだまなざしを向ければ、嘉瑛が黒い瞳に滲んだ涙の雫をそっと唇で吸い取った。
「千寿、可愛い奴だ。俺の千寿」
嘉瑛が恍惚りしたような表情で呟く。
面妖なことに、千寿が痛みを訴え、苦悶にもがけばもがくほど、嘉瑛はいっそう機嫌が良くなる。
嘉瑛が一挙に最奥まで刺し貫いた。だが、千寿は何が起こったのか、まだ判らない。ひときわ烈しい痛みが襲ってきて、千寿は眼の前が真っ白になった。
何故、自分がこのような辛い目に遭わなければならないのか。
落城寸前の白鳥の城を逃れ、苛酷な境遇に耐えながらもこれまで生きてきたのは、こんな屈辱を味あわされるためだったのか。
そう思えば、尚更、涙が止まらない。
ゆっくりと薄れてゆく意識の底で、御仏の与え給うた宿命はあまりにも理不尽だと、哀しい想いで考えていた。
「痛い、痛い―」
一度は止まっていた涙が溢れ、頬を次々に濡らした。
「ん? どうした、痛むのか」
言葉とは裏腹に、何故か嘉瑛は嬉しげだった。千寿が涙ながらに痛みを訴えると、〝よしよし〟と言いながらも、更に千寿の中に深く強く押し入ってくる。
「あっ、い、痛いっ」
千寿は大粒の涙を流しながら、下半身を走るあまりの痛みに呻いた。
泣いて何かに縋ろうとした千寿の身体を嘉瑛が力を込めて引き寄せる。身体を隙間なく密着させると、嘉瑛のものがなおいっそう深く千寿の体内に食い込み、沈んでゆく。
「何で、こんな―」
涙で潤んだまなざしを向ければ、嘉瑛が黒い瞳に滲んだ涙の雫をそっと唇で吸い取った。
「千寿、可愛い奴だ。俺の千寿」
嘉瑛が恍惚りしたような表情で呟く。
面妖なことに、千寿が痛みを訴え、苦悶にもがけばもがくほど、嘉瑛はいっそう機嫌が良くなる。
嘉瑛が一挙に最奥まで刺し貫いた。だが、千寿は何が起こったのか、まだ判らない。ひときわ烈しい痛みが襲ってきて、千寿は眼の前が真っ白になった。
何故、自分がこのような辛い目に遭わなければならないのか。
落城寸前の白鳥の城を逃れ、苛酷な境遇に耐えながらもこれまで生きてきたのは、こんな屈辱を味あわされるためだったのか。
そう思えば、尚更、涙が止まらない。
ゆっくりと薄れてゆく意識の底で、御仏の与え給うた宿命はあまりにも理不尽だと、哀しい想いで考えていた。