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おもちゃのCHU-CHU-CHU★(坂内龍弥 ルート)

第2章 衝撃のショッピング・デート


 部長に手を引かれてやって来たのは、オープンカフェ。そこのテラス席に案内され落ち着くと、ランチと飲み物を頼んだ。料理が運ばれてくる間、どうすればいいのだろうかと俯きながら考えていると、部長が「緊張してるの? 別に何か話そうとか思わなくていいからね?」と言ってくれる。「かと言って、僕もそんなに話題が豊富なワケじゃないんだけどね」と言って笑いながら。

 「一緒にいて、何も話さなくても安らげる。そんな関係を築きたいと思ってるよ」

 そう言うと、部長はアタシの膝の上の手を優しく取ると、口元に持っていき、手の甲に唇を寄せた。

 うう……。平川さんもだけど、坂内部長もこういう事をさり気なく出来ちゃう人なのか。流石、AD部の部長だなと思う。発足時は、他の部署の女子社員にモニタリングを頼んでいた事もあったそうで、その時、坂内部長は「誰かとエッチな事をしたのかな?」とか、「だから慣れているのかな?」なんて考えると、かなりモヤモヤした。

 過去の事に嫉妬しても仕方が無いのに。でも、自分に自信の持てないアタシは、「過去の人と比べられているんじゃないか」とか、「子供だと思われているんじゃないか」とか、どうしても考えてしまう。部長はアタシの事を、ちゃんと一人前の女性と見ていると言ってくれたけれど。本当の心の中は、魔法でも使わない限り、身体を解剖したって分からないのだ。でも、それは部長も同じなんだって、この時のアタシは分かっていなかった。

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