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おもちゃのCHU-CHU-CHU★(坂内龍弥 ルート)

第2章 衝撃のショッピング・デート


 「頼子、森脇さんに近寄り過ぎだ」

 そう言って坂内部長が、アタシの肩を抱き寄せる。すると頼子さんが、「ケチ」と言って、部長に舌を出して見せた。子供の頃から、こんな感じでずっと一緒にいたのかな。アタシが生まれる前から、二人は知り合いで。こうやって日々を過ごしていたんだ。

 「森脇さん? 本当に大丈夫かい?」

 部長は、ずっと黙ったままのアタシを心配したのか、そう言うと顔を覗き込む。アタシはどんな顔をして部長を見ているんだろうか。よく分からないけれど、アタシが顔を上げて部長を見ると、部長は立ち上がり、「頼子、すまないがこれで失礼するよ」と言って、アタシの手を引いた。

 「ちょっとぉー! 珠子ちゃんを置いて行きなさいよ?」

 頼子さんは、坂内部長の背中にそう言ったけれど、部長は「絶対に嫌だ」と言って、アタシを引き摺る様にお店を出ると、大通りに出てタクシーを捕まえた。

 「部長? どうしたんですか?」

 アタシはワケも分からず、タクシーに乗せられてから尋ねる。すると坂内部長はアタシの肩を抱き寄せて、耳元で「今直ぐ、君が欲しくなってしまったよ。ごめんね」と言って、チュッと軽く耳に口付けた。

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