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おもちゃのCHU-CHU-CHU★(坂内龍弥 ルート)

第2章 衝撃のショッピング・デート


 坂内部長はタクシーの運転手に、ホテルの名前を告げると、車は静かに目的地に向かって走り出す。カーラジオから流れてくる交通情報を聞きながら、アタシは窓の外の流れる景色を眺める。これから訪れる、時間を想像すると、胸がドキドキとして落ち着かなくて。部長ったら、急にどうしちゃったんだろう? でも、アタシを求めてくれるのは、素直に嬉しい。

 好き。坂内部長の事が好き。

 「龍弥さん」って呼んでもいいかな。そして、アタシの事も「珠子」って呼んでくれないかな。アタシは部長のものだって。部長はアタシのものだって。そう言ってくれないかな。

 アタシが部長の手をギュッと握ると、部長は握り返してくれる。振り返って部長を見れば、部長もアタシを見返してくれる。ここがタクシーの中である事も忘れて絡まる視線は、色を孕んでいて。二人きりになるのを待ち切れなくて潤む瞳。ここで口付けたら、止まらなくなりそうなのに。引き寄せられる様に、アタシ達は唇を重ね合わせた。

 部長の唇は熱くて、アタシの心と身体を直ぐに溶かしてしまいそうだ。頼子さんと部長の間の事で、不安な事はあるけれど。いい方に考えよう。頼子さんにアタシとの事を話してくれた時に、「ずっと先の未来も一緒に歩きたい」って言ってくれたじゃない。今はその言葉を信じよう。

 アタシは部長の首に腕を回しながら、そう自分に言い聞かせた。

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