テキストサイズ

おもちゃのCHU-CHU-CHU★(坂内龍弥 ルート)

第5章 皆に秘密のラブラブ出張


 頼子さんに別れを告げ、お店を出ると龍弥さんに電話をする。もう、お仕事は終わったかな。そんな事を思いながらアドレス帳を開き、龍弥さんの名前をタップする。何回目かのコールで、電話は繋がった。

 「お疲れ様です、森脇です。今、お電話、大丈夫でしょうか?」

 未だ、お仕事中で傍に誰かが居るかもしれないと思い、アタシは事務的にそう言うと、龍弥さんは『お疲れ様。大丈夫だよ』と答えてくれる。アタシは頼子さんのお店に行き、先日のデートで買いそびれたスーツを買った事を伝えた。そして、頼子さんが龍弥さんの家に、買った物を届けてくれるので、受け取る様に言われた事を告げると、龍弥さんは、『分かった』と短く素っ気なく答えた。誰かが来たのだろうと思い、慌てて電話を切る事を伝えると、『未だ切らないで』と言われる。

 『見つけた!』

 耳元で龍弥さんの声が響き、誰かに後ろから抱き付かれる。驚いて振り返ると、それは龍弥さんだった。龍弥さんは、「走って来ちゃったよ」と、額に滲んだ汗を拭きながら、声を弾ませている。

 「電話を貰った時、丁度会社を出た所でね。急げば会えるかなと思って、年甲斐にもなく走ってしまったよ」

 そう言って笑う龍弥さん。アタシに会う為に走ってくれたなんて嬉しい。首に回された腕を撫でながら、その気持ちを伝えると、顎に手を添えられ、軽く口付けられた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ