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おもちゃのCHU-CHU-CHU★(坂内龍弥 ルート)

第5章 皆に秘密のラブラブ出張


そして出張日の朝。アタシと龍弥さんは東京駅で待ち合わせ、午前九時丁度に出発する新幹線に乗った。大阪まで約二時間半の列車の旅だ。会社が予約してくれた、一般の指定席だから、周りはビジネスマンが多い。ノートパソコンで仕事をしている人。乗車早々、眠ってしまう人。新聞を読む人。本を読む人。人それぞれが思い思いの過ごし方をしている。

 アタシと龍弥さんはと言えば、スケジュールの確認を行った後、龍弥さんはノートパソコンを取り出し、プレゼンテーションの資料を作成していた。アタシはと言えば、特に何もする事がないので、窓の外を流れる景色を眺めていた。

 乗車してから一時間が過ぎたくらいだろうか、肩に重みを感じたので視線を移すと、龍弥さんの頭がアタシの肩に載せられていた。顔は見えないのだけれど、きっと眠ってしまったのだろう。身体を預けてくれているのが嬉しくて、口元に笑みが浮かんでしまう。

 新幹線の中って空気が乾燥しがちだし、ちょっと空調の温度も低めだから、風邪を引いてはいけないと思い、龍弥さんが脱いだジャケットを、起こさないように慎重に、肩に掛けてあげる。龍弥さんは少し身動ぎしたけれど、起きる事はなくて、アタシはホッと胸を撫で下ろした。

 

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