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君が教えてくれたこと。

第2章 初めての感情。

その日の放課後、
昇降口に行くと柊一が待っていた。
「まだ帰ってなかったの?」
私が聞くと柊一は首をかしげながら言う。
「美夜を待ってたに決まってんじゃん。さぁ帰ろ。」
そう言うと私の手を取り、連れ出す。
「ちょっと!しゅーちゃん?!」
私はびっくりして引き止める。
「しゅーちゃんじゃない、柊一。」
柊一は少し拗ねたように言い、そのまま私の家まで送ってくれた。
「ありがとう。全く。昔みたいに一緒に帰りたかったならそう言ってくれればいいのに!素直じゃないな。」
私は笑いながら柊一の頭をポンポンと叩く。
すると、柊一は考え込むように呟いた。
「……まだこれじゃだめか。」
「だめって、何が?」
私は柊一の顔を覗き込んで聞く。
柊一は少し慌てながら
「なんでもない!じゃーまた明日ね。」
と言い、帰ってしまった。
今日のしゅーちゃん、なんか変だったなぁ_____。
その日から柊一は朝は家の前まで迎えに、放課後は昇降口で毎日待っていた。
朝の時間がギリギリになっても、帰りが遅い時も_____。
「何でいつも待ってるの?」
私が聞くと柊一は笑顔で答える。
「美夜と一緒にいたいから。」
「そっか!まだ昔みたいにまだ大好きなのか♡」
私がからかうと柊一はぎこちなく笑う。
……あれ?何かまずい事言ったかな…?
そんなある日、柊一は朝家の前にいなかった。
……先に行ったのかな?
私がそう思い1人学校に行くと_____。
ピンポン_____。
LINEが鳴った。
柊一からだった。
[おはよ!今日熱出ちゃって行けそうもない。ごめんね。俺は大丈夫だから心配しないでね♡]
……熱?!
私はびっくりして柊一が心配になった。
しゅーちゃん昔から熱出すと辛そうだったからなぁ。
しかも、1人で引っ越してきたって言うし。
学校終わったら行ってあげよう_____。
学校へ行くと朝美が
「なんだ。今日は1人か。もしや飽きられたかぁ?」
とからかってくる。
「今日は熱出しちゃったらしくて…。」
と私は心配そうに言う。
「あら。それは大変。学校終ったら行ってあげなよ?」
「そのつもり。」
私が答えると朝美はニヤリ。と笑って
「まぁあの子は愛しの旦那だもんね!」
とからかってくる。
「従兄弟ってだけでそんなんじゃないよー。」
私は慌てて答える。
授業が終わり、放課後となる。
私は教室を飛び出し、柊一の家へ向かった。

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