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君が教えてくれたこと。

第2章 初めての感情。

夕緋side

俺は1人家を出た。
俺の前では俺のすること全てに肯定し、いい顔ばかりしてくる。
女もすぐ色目を使い、周りを蹴り落としてまで安全な場所を作り出そうとする。
だが、裏では何かの問題事があるとすぐに俺のせい。
最初は
「私はあなたの味方です。」
と言っていた家族や先生達も、最終的には俺を厄介者扱い。
そんな家族や学校の奴らが嫌だった________。
今日は新しい学校へ行く日。
めんどくせぇ……。
あたりの様子は新しいクラス、新しい友達と出会いはしゃいでいる。
人間というものはつくづく新しいものに弱い。
そして、誰かに必死に好かれようとする。
自分を隠してまで_______。
そんなことを考えていると
「今日は転入生が来ています。どうぞ。」
先生の言葉でクラスのみんなは俺に注目する。
女どもは「キャーキャー」騒ぎまくり、男までもが質問ばかりしてくる。
人間は汚い生き物で目障りだ。
そんな中、新しいものに目もくれない奴がいた。
桜が散っていくのを見つめるそいつのは、暖かくて優しい表情をしている。
それと同時に何処か悲しそうな目をしていた_____。
「中村夕緋。1人で家を出た。よろしく。」
俺はそれだけを言って指定されたそいつの隣に座る。
その女は笑顔で俺に
「よろしく。」
と簡単な挨拶だけをしてきた。
こいつは他の奴とは違うのか?
俺は初めて平等に扱われている気がした。
その瞬間、
ドクン____。
と心臓が高鳴ったのを感じた。

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