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君が教えてくれたこと。

第2章 初めての感情。

学校が終わり、1人家に帰る。
今日はなんか疲れた。
俺はカバンとブレザーを投げ捨て、ネクタイとベルトを無造作に緩める。
ソファに横になるとまぶたをゆっくりと閉じた。
まぶたの裏側には桜が散るのを、何処か悲しそうに、そして暖かく、優しく見つめる横顔が見える。
俺の隣のやつはなんなんだ。
周りに好かれようと思わないのか?
嫌われるのが怖くないのか?
そして、あの笑っているようで泣いている、そんな悲しそうな横顔_____。
…くそ。なんで俺、あいつのことばかり……。
俺は緩めたネクタイを取り床に投げつける_____。
「空…星…美夜。」
不思議なやつ。
俺はまたゆっくりとまぶたを閉じ、眠りについた_____。
俺が目を覚ますとあたりはすっかり暗くなっていた。
もう、夜の10時か……。
そういえば腹も減ったな。
俺は財布だけ持ち、近くのコンビニへ行った。
夜道を歩いていると
「やめてください。」
女の声が聞こえた。
少し空星美夜と似ている声。
俺は声のする方向へと向かう。
柄の悪い男達に囲まれているのは空星美夜だった。
俺の中に眠っている、何重にも鍵をかけて封印した獣が目覚める。
そして、鍵が一気に弾けとんだ_____。

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