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君が教えてくれたこと。

第2章 初めての感情。

考えるよりも先に体が動いていた。
「やめろよ。それ以上手を出すなら俺も容赦しねぇ。」
……何言ってんだ。俺。
俺は男の腕を掴み、睨みつける。
「ぁあ?なんだお前。」
男達はどんどん迫ってくる。
俺の中に凶暴な獣の血が、昔のように流れ出してきているのを感じた。
男達は一斉に殴りかかってくる。
「夕緋君!危ない_____!」
美夜の叫び声が聞こえる。
怖がってて、心配そうで、悲しそうで……
そんな美夜の表情が見える。
「心配するな。」
俺はそれだけを言って男達を殴り倒していく_____。
美夜は魂が抜けるかのように地面にへたり込む。
「ほら。」
俺は手を差しのべる。
「ありがとう。」
美夜は必死に立とうとするが、立てそうもない。
俺は美夜に背中を向け、しゃがむ。
美夜はなかなかおぶさってもらおうとしない。
めんどくせぇな……。
俺は美夜の腕を引っ張り、無理やりおぶる。
最初は慌てていた美夜は、次第に落ち着き、
「ごめんね。ありがとう。」
とだけ言うと俺にもたれかかった_____。
家まで送り、美夜の感謝の言葉に無造作に返事をして帰った。
家に着き、シャワーを浴びてベッドに横になる。
俺の中の獣は眠りにつき、今度は弾けとはないようにもっと厳重に鍵を占め、封印する。
「人殺し_____!」
脳裏にその言葉が浮かぶ。
クソ!
俺は床を思いっきり殴った。
あの女は一体なんなんだ。
俺の頭の中にすぐに浮かんでくる。
あいつが他の奴に手を出されていると腹が立つ。
こんな感情。俺は知らない……。
俺はまた眠りについた。

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