【銀魂】神楽総受け 短編集
第2章 【沖神】巡り巡って ※死ネタ
その間私達は手を繋いで歩いた。
いつもの様に、些細なことで喧嘩して、途中で保護者に見つかって笑顔で手を振りながら帰った。
いつもと同じ。何も変わらない。ずっとこの状態が続けばいい。
こんな甘い考えがこの江戸という時代で通ずるわけが無いのに。
その夜、万事屋に一本の電話が入った。
銀時「はい。万事屋銀ちゃんです。」
土方「万事屋か?夜分遅くにすまねぇ。チャイナ娘は起きてるか?起きてたら変わって欲しい。」
銀時「あ?大串くん?神楽?神楽ならいるけど、今変わるわ。おー。」
神楽「銀ちゃん?誰からアルカ?」
アイツじゃないかって少しだけ期待した。
この時の私はこの電話が、私の人生を、運命を大きく変えることになるとは知らず。
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私は、朝一に病院に来ていた。
今日だけは、大好きな太陽が煩わしく感じて、鬱陶しかった。
昨日の真選組副長の土方十四郎から電話があり、「沖田が不逞浪士に襲われて重傷を負った。」と言われた。
その瞬間、目の前が真っ暗になった。何を言われているのか分かんなくて。何度も聞き返した。嘘でしょ。そんなはず無い。冗談キツイって。でも、何度聞いても、土方の口から出る言葉は同じで泣きたくなった。だから、今日は土方に教えてもらった沖田の病室に来ている。
病室の前まで来て、足が震えた。
怖かった。私の知らない沖田が、そこにいる様で。口の中で「大丈夫。大丈夫。」と呟いて。
ガラッ。
扉を勢い良く開ける。
ピッ、ピッ、
規則正しい機械音。いつもの沖田はそこにはいなかった。いつも、私を見つけると子犬みたいな笑顔を見せて「チャイナ」と呼んでくれるアイツはいなかった。全身グルグル包帯を巻いて、かろうじて目だけ出ている状態。
違う。こいつは沖田じゃ無い。だって、アイツは...あんなにも強かった。夜兎である私に遅れをとらない、本気で殺り合えるそんな奴なのに、なんで攘夷志士なんかにやられるのだ。
ねぇ、応えてよ。やっと、想いが通じたのに。まだまだこれからだったのに、何勝手にくたばろうとしてんだよ。私を置いて行かないでよ。
神楽「...お..きた.....。」
私の声は酷く震えていた。こんな声じゃコイツには届かない。何度呼んでも、こいつは応えてくれない。涙が次々に頬を伝っていった。やがて、嗚咽も激しくなって名前が呼べない。