君がいるから~Sweet Life~
第1章 S
「…起こせば良かったのに」
ぐーっと両手を伸ばしてから
勢いをつけて起き上がる。
「あんまり気持ち良さげだから」
…起こすに起こせなかった
なんて笑うから
「…寝顔見て、喜んでたんでしょ」
わざと上目遣いで
煽るように、翔ちゃんを見上げた
「キスしたくなるくらい、可愛いからね」
まさかの切り返しに
思わず顔がブワッと赤くなる。
…まずった
こういう話題は
翔ちゃんのが上手だった。
ほっとくと
間違いなく
更に、追い打ちを掛けてくるはず。
「な…何買ってきたの?」
その前に回避しなきゃ、墓穴を掘るのが分かってるから
翔ちゃんの手にあるビニール袋を指差して
話題をそれに変えた。
「ああ、串焼きとか何か色々。あったかいうちに食べようよ」
話題を急いで変えた事に気付いてるよね
翔ちゃん、声が笑ってる
「朝、食い損ねたからさ…腹減った」
「…それは自分のせいだろ」
「分かってるよ」
はい、と袋を差し出されて
中を覗き込む。
何かホントに、色々入ってた。