君がいるから~Sweet Life~
第8章 f
俺の方が早く家に着いたから
夕食の仕度に取り掛かった
唯一出来る、簡単な炊き込みご飯とみそ汁
…失敗のない焼くだけの味の付いた肉と
あらかじめ買ってあったカット野菜
ご飯は、気付いたら失敗しなくなっていた
上手く炊けるのが、当たり前になったのはいつからだろう
そう言えば
あの日の八つ当たりはこれだったな
それまでにも失敗してるのに、あの日はどうしても謝れなかったっけ
…ツン、と鼻の奥が痛くなった
まだ何も聞いてないのに、おかしいだろ
しっかりしろよ
腹括ったはずだろうが
ガチャン、と玄関が開く
…帰ってきたんだ
俺は、気合いを入れる為にほっぺを叩いて
智を迎えた
「おかえり」
「ただいま、…翔ちゃんのが早かったね」
智の顔が、気のせいか晴々してる気がする
「翔ちゃん」
「…先に着替えてきなよ」
「いや、今言うよ」
智が俺の目の前に立った
お互いがしっかりと見つめ会う
「あのさ」
俺は息を飲んだ
目を瞑りたいのは、我慢した
「一緒にいくよ」