君がいるから~Sweet Life~
第8章 f
え…
今、なんて言った?
「智…今、なんて……」
「だから、俺も一緒に行く
…会社は辞めないけど」
「へ?」
思わず間抜けな声が出てしまった
「調べたらさ、あっちにも支社があったんだよ
…今みたいに近くはないけど
でさ、ダメ元で異動願出したら、ちょうど1人辞めたとかで通っちゃった」
智が嬉しそうに笑っている
「ダメなら、会社辞めるつもりだったんだ」
「ホントに…?」
「嘘吐いてもしょうがねぇだろ」
「さとしぃっっ!!」
「うわっ」
ガバッと力一杯智を抱き締めた
嬉しいのと、ホッとしたのとで涙が止まらない
「ずっと一緒にいるって言ったじゃん…」
「うん…」
「一緒に行くのなんて、最初から決めてたよ」
智が俺の背中をポンポンと叩いた
「仕事なんかさ、選ばなきゃ何でもあるんだよ
…でもさ、翔ちゃんは1人しかいないじゃん」
ああ
智の方がよっぽど上手だ
悩んでた俺がバカだった
逆の立場なら、俺も智と同じ事言えるのに