君がいるから~Sweet Life~
第1章 S
ひとしきり笑ったら
今までの状況は、どうでも良くなった
誰だって
不機嫌になる事はある
八つ当たりだってする
「…智、ごめん」
片手で笑い涙を拭った翔ちゃんが
ポツリ、と呟いた
車を走らせてるから
視線は前を向いたまま
「うん…」
なにが?なんて聞かなくても分かってる
朝の、逆ギレの事でしょ
「智が…あんなに呆れた声出すからさ…つい」
「は?…ちょっと待て」
「なーんか、カチンと来ちゃったんだよね」
何だその人のせい、みたいな言い方は
「なにそれ…」
せっかく雰囲気良くなったと思ったのに
翔ちゃん、まだそう言う事言うの?
何か、ムカついてきたぞ…
「でもさ」
そんな俺に構わず
翔ちゃんは続けた。
「それ、智だからなんだよね」
「…え?」
どういう意味?
「智だから、俺もありのままでいられるっつーか…」
やっぱり視線は当たり前だけどそのままで
「どんな俺でも、智なら受け入れてくれるんじゃないかって思って…」
つい、甘えが出ちゃった
困り顔で笑う翔ちゃん
おいおいおいおい…