君がいるから~Sweet Life~
第7章 i
キッチンに立って、コーヒーを沸かす間も
おばさんはニコニコしたまま俺を見つめていて
…何を話して良いか分からない俺は
ただ、ひたすらコーヒーメーカーとにらめっこするしかなかった
だって、翔ちゃん
“週末“ って言ってたよね?!
何で聞いた当日に、来てるわけ?
翔ちゃんに連絡しようにも、目の前にいられれば下手な事は言えないし
しかも
翔ちゃんに連絡しますって言ったら
“しなくていいわよ~っ“ なんてケラケラ笑われて
俺、…お手上げ
もうすぐ帰ってくるとは思うけど
俺はどうしたらいいんだよ!?
おばさんに会ったのは、それこそ軽く10年は前だ
しかもその時は、俺はまだ高校生で
気軽に接するのも許されてた時期
でも今は
大人になった以上、昔みたいにフランクになんて出来ないし
ましておばさんは俺達の事を知ってるって話だし
緊張するなって方が、無理な話なんだ
「どうぞ…」
コーヒーを、おばさんの前に差し出した
「あらぁ、ありがとう」
おばさんが、にっこりと微笑んだ