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恋しちゃ……ダメなのに

第2章 仮初の幸せ

「いえ、何でもありません」

「そう?」
と言って透さんは本に戻る。

それから私は宿題、透さんは本。
会話は無いけど、私の鉛筆の筆跡の音が響くぐらいゆったりとした時間が流れる。

私が鉛筆を置くと

「終わった?」

とすかさず聞いてくれる。

「はい、終わりました」

私は宿題のプリントを透さんに渡して、ミスが無いか見てもらう。

「間違いは無いよ、よく出来たね」

と、透さんは私の頭を撫でる。

「透さん、私の頭を撫でるの好きなんですか?」

「んー、そうだね。気に入ったかな、奏ちゃんが嫌なら辞めるけど?」

「い、嫌じゃ……ないです」

そう、私も好きになっていた人と触れ合う事が。
こんな時間がずっと続けばいいのに。

撫でるのが終わると図書館の前のベンチでお話をする。

今日は何を話そうかな。

「透さん、何で私にこんな優しくしてくれるんですか?」

と、思っていた事をぶつけてみた。
私から見てもちょっと優し過ぎるんじゃ、と疑問だったから……。

「そうだね……ちょっと重く、長くなるかもしれないけど大丈夫かな?」

「は、はい!」

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