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恋しちゃ……ダメなのに

第1章 実らない恋

それから髪の毛だけでも手ぐしで少し整えてるうちに男の人が戻ってきた。

「お待たせ、ポカリで良かったかな?」

「……はい」

と渡されたポカリを手に取り少し飲む。

「大分落ち着いた……かな?学校で何かあったのかな?……あ、言いたくないなら無理に言わなくていいから」

私は泣いたしどうせならこの胸に貯めてるものをすべて吐き出すかのようにゆっくりと言葉を紡いだ。

私が呪いの少女と呼ばれてる事、その原因になった事。
そして友達が居なくなったこと、寂しかった事。

全部、全部このお兄さんに話した。

話してる時は何も言わずただただ私の言葉を聞いてくれた。

「そっか……辛かったんだね。えっと名前なんていうんだっけ??」

私は唐突に名前を聞かれ思わず笑いそうになった。
こんなに話していたのに名前すら教えて無かったことに。

「私は篠宮奏(しのみやかなで)と言います」

「奏ちゃんか、いい名前だね。俺は浅田透(あさだとおる)っていうんだ」

「話を聴いてくれてありがとうございます」

誰かに話を聞いて欲しかった。

だから話した。

それだけなのに。

「無理やり聞いたみたいでごめんね」

「いえ、私も誰かに聞いて欲しかったので聞いてくれてありがとうございます」

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