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キミまでの距離

第1章 出会い

その日はすぐにやってきた。

メールでやり取りして。
次の夜のコンビニのバイトが休みの日をお知らせしたら、じゃあその日で、って返信がきた。

駅で待ち合わせ。
少し早めに着いて相葉さんを待つ。
待ち合わせなんていつぶりだろう。

予定時間の5分前に現れた相葉さん。
人混みの中から姿を見つけた時は、やっぱり胸が狭くなった。

「ゴメン!待った?」

「ううん。」

定番なやり取りにふたりしてプッと吹き出して、

「居酒屋でいい?」

「うん!」

相葉さんの進む方へ並んで歩いた。



居酒屋さんでビールと適当におつまみになるのを頼んで、

「ね、二宮くんっていくつ?」

「23。」

「へ。同じ歳じゃん。もっと若く見えるよ。マジで未成年じゃないよね?って思ってた。」

「え!相葉さんタメ?じゃあ敬語じゃなくていい…?」

「全然!ね、和って呼んでもいい?」

「うん。俺も雅紀って呼んでいいの?」

「うん!呼んで!」

あの日、おじさんが怖くて、なかなかレジの方へ行けなかった、とか、
何度か俺を見かけてた、とか、
話してくれた。

雅紀は会社員。
結構忙しいらしくて。残業も多いって。
だって、あの時間にスーツで弁当だもんね。

スーツ姿…カッコいいんだよなー。

コンビニの近くに住んでるって。
俺も割と近くだよって話した。

「昼間のバイトは何してるの?」

「洋食屋さん。」

「へぇ。今度 行きたい。」

「いいけど。俺、皿洗いとか雑用だしな。」

「そっか。いつか行きたいな。」

「ふふふ。わかった。」

雅紀との会話、楽しい。

ビールを飲む姿や、ひゃひゃひゃって顔くしゃくしゃにして笑うとこ、動くとふわっと香る柑橘系の匂いとか、、、

目を奪われる。
心も。

楽しい時間はあっという間に過ぎて。
そろそろ帰ろっか、と店を出た。

またね。
メールする。

そう言って手を振って雅紀は歩き出した。

俺も楽しかったな、ってほろ酔いのいい気持ちで帰り道を歩いた。

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