テキストサイズ

ネットに落ちてた怖い話

第57章 逆さの樵面

言い争いは平行線だったようですが、とりあえず土谷家側が折れて父たちを屋敷へあげてくれました。

歴史ある旧家だけあって広い畳敷きの部屋がいくつもあり、長い廊下を通って、玄関からは最奥にあたる山側の奥座敷の前で止まりました。

どんな秘密の隠し場所に封じ込められていたのだろう、と想像していた父は拍子抜けしたといいます。

姑が奥座敷の襖を開けたその向こうに、樵面の黒い顔が見えたのです。

しかしその瞬間、集まった人々の間に「おお」という畏怖にも似た響きの声が上がりました。


「決して中へは入ってはなりません」


と姑は言い、悪いことは言わないからこのままお引取りを、と囁いたのです。

明かりもなく暗い座敷の奥から、どす黒い妖気のようなものが廊下まで漂ってきていたと、父は言います。

締め切られていた奥座敷の暗がりの中、奥の中央に位置する大きな柱に樵面は掛けられていました。

しかしその顔は天地が逆、つまり逆さまに掛けられているのです。

しかも柱に掛けられていると見えたのは、目が暗がりに慣れてくるとそうではないことに気づきます。

面の両目の部分が釘で打たれ、柱に深く打ち留められていたのです。

「なんということをするのだ」

と古参の舞太夫が姑に詰め寄るも、教育委員会の職員に抑えられました。

「とにかくあれを外します」

と職員が言うと、姑は強い口調で



「目が潰れてもですか」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ