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ネットに落ちてた怖い話

第57章 逆さの樵面

樵面は樵でありながら神そのものであり、その神に別の神の言葉を
喋らせ、別の神の舞を踏ませたことが、面の怒りをぐつぐつと長い年月に亘って煮立たせていたのだという。

そして甚平の体を借りて呪詛を村中に撒き散らせたのだ。

いわば日野流神楽への土谷流神楽からの復讐だった。

その樵面は未だに土谷家の奥座敷にて、この村を呪い続けている・・・


姑の口から忌まわしい恩讐の話を聞かされた父たちは、その場に凍りついたままだったといいます。

憑き物がわずかに取れた顔で、姑は肩の力を抜きました。


「太郎さんはいけんよ。次は命がないけんね」


その言葉を聞いて、太夫や職員は色めきました。

姑はつまりこう言っているのです。


「太郎さんの目が見えないのは、むかし樵面を取りに座敷に入ったからだ」と。


結局一堂は土谷の屋敷から離れました。

そして近くの神社に寄りあって、どうしたらいいのか協議をしました。

壁を壊して座敷の裏側から面を外してはどうかという意見が出ましたが、土谷家の人間を説得できない限りそんな無法はできないという結論に至るばかりです。

さりとてこのままにはしておけない、と頭を抱えていたとき、一人の老人が寄り合い所を訪れました。

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