ネットに落ちてた怖い話
第57章 逆さの樵面
90年配の高齢と思しき老人は、自分が樵面を外すと言いました。
人に外せないなら、人ならぬものが外せばいいと。
再び土谷家へ出向いた一堂は、ことの次第を姑に話しました。
老人の手を握り、承知した姑は奥座敷に案内しました。
襖を開け、再び樵面にまみえた父たちは怖気づきましたが、控えの
間から白い人影が現われたとき、えもいわれぬ安堵感に包まれたと言います。
山姫の面に格衣、そして白い布を羽織った老人が静々と歩みよって来たのです。
そして神歌とともに舞いながら、ゆっくりと座敷の内側に入り込んで行きました。
息を呑む父たちの前で、不思議な光景が繰り広げられていました。
暗い座敷の中で白い人ならぬものが舞っているのです。
太夫の一人が叩く神楽太鼓の響きの中、山姫はひと時も止まること
なく足を運び、円を描きながらも奥の柱の樵面へ近づいていきました。
山姫の手が樵面へ触れるや否や、面の両目を打っていた釘がぼろぼろと崩れ落ちました。
100年以上も経っているため、腐っていたからでしょうが、父にはそう思えませんでした。
この襖の向こう側は人の領域ではないのだから、何が起こっても不思議ではないと、素直にそう思えたのです。
人に外せないなら、人ならぬものが外せばいいと。
再び土谷家へ出向いた一堂は、ことの次第を姑に話しました。
老人の手を握り、承知した姑は奥座敷に案内しました。
襖を開け、再び樵面にまみえた父たちは怖気づきましたが、控えの
間から白い人影が現われたとき、えもいわれぬ安堵感に包まれたと言います。
山姫の面に格衣、そして白い布を羽織った老人が静々と歩みよって来たのです。
そして神歌とともに舞いながら、ゆっくりと座敷の内側に入り込んで行きました。
息を呑む父たちの前で、不思議な光景が繰り広げられていました。
暗い座敷の中で白い人ならぬものが舞っているのです。
太夫の一人が叩く神楽太鼓の響きの中、山姫はひと時も止まること
なく足を運び、円を描きながらも奥の柱の樵面へ近づいていきました。
山姫の手が樵面へ触れるや否や、面の両目を打っていた釘がぼろぼろと崩れ落ちました。
100年以上も経っているため、腐っていたからでしょうが、父にはそう思えませんでした。
この襖の向こう側は人の領域ではないのだから、何が起こっても不思議ではないと、素直にそう思えたのです。