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ネットに落ちてた怖い話

第62章 喪服の女

Cも流石に躊躇したのか、桐の小箱に伸ばした手が一瞬とまった。

が、Bの「早くしろよ」という言葉におされてそのまま箱の中から小箱を取り出し、蓋を開け中身を取り出した。
中には素人目にも高そうに見える懐中時計が入っていた。

そのとき、さっきまであまり喋っていなかった留学生の片割れのDが、カタコトの日本語で「それ、高いの?」と聞いてきた。

俺は「よくわかんないけど、たぶん高いんじゃないかな、なんか金っぽい装飾もあるし、骨董品っぽいし」と返すと、DもEもそのことに興味津々っぽいようだった。

でも俺たちは当然持ち帰る気は無かった、当たり前の事だがこんな怪しい場所に明らかに「隠されてた」ようなものだ、当然相応の理由があるはずだ。

そんな話をしていると、BとCの「…うわ」という声がした、何かにどん引きしているようだ。

2人の見ているほうを見ると、どん引きしているものの正体にすぐに気付いた。

最初のでかい方の木箱が入っていたスペース、箱を出した時は気付かなかったのだが、底のほうに明らかにお札と解る、変色した紙くずが大量に落ちている。

Bが「この時計やばいって…早く戻して帰ろう…」というと、Cも「だな、ちょっと洒落にならんわ…」と、時計を箱の中に戻した。

その時

メキメキメキッ!

と大きな音がして、Aが胸の辺りまで下に落っこちた。

どうもAのいた辺りの畳と床板が腐っていたらしい。

Aは「いった~」と声をあげて暫らく痛そうな顔をしていたが、怪我は無さそうで「足が地面につかないから上に上がれない、引き上げてくれよ」と元気そうに言ってきた。

どうやら下はすぐに地面では無く結構深いらしい、Aは開いた穴にぶら下がるような形になっているようだ。

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