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ネットに落ちてた怖い話

第43章 ヒッチハイク

後方で、父と母が何か叫んでいたが、気にする余裕などなかった。

「ヤバイヤバイヤバイ」とカズヤは呟きながら森の中を走っている。
お互い、何度も転んだ。
とにかく下って県道に出よう、と小さなペンライト片手にがむしゃらに森を下へ下へと走っていった。

考えが甘かった。
小川のあった広場からも、町の明かりは近くに見えた気がしたのだが、1時間ほど激走しても、一向に明かりが見えてこない。
完全に道に迷ったのだ。
心臓と手足が根をあげ、俺達はその場にへたり込んだ。

「あのホラー一家、追ってくると思うか?」

とカズヤ。

「俺達を食うわけでもなしに、そこは追ってこないだろ。映画じゃあるまいし。ただの少しおかしい変人一家だろう。最後に見たヤツは、ちょっとチビりそうになったけど…」

「荷物…どうするか」

「幸い、金と携帯は身につけてたしな…服は、残念だけど諦めるか」

「マジハンパねぇw」

「はははw」

俺達は精神も極限状態にあったのか、なぜかおかしさがこみ上げてきた。
ひとしきり爆笑した後、森独特のむせ返る様な濃い匂いと、周囲が一切見えない暗闇に、現実に戻された。

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