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ネットに落ちてた怖い話

第43章 ヒッチハイク

やがて、キャンピングカーのエンジン音が聴こえ、車は去ってった。
辺りはもう完全に明るくなっていた。
変態一家が去ったのを完全に確認して、俺は女子トイレに飛び込んだ。

全ての個室を開けたが、誰もいない。
鍵も全て壊れていた。

そんな馬鹿な…

後から女子トイレに入ってきたカズヤが、俺の肩を叩いて呟いた。

「なぁ、お前も途中から薄々は気がついてたんだろ? 女の子なんて、最初からいなかったんだよ」

2人して幻聴を聴いたとでも言うのだろうか。
確かに、あの変態一家の女の子に対する反応が一切無かった事を考えると、それも頷けるのではあるが…しかし、あんなに鮮明に聴こえる幻聴などあるのだろうか…

駐車場から上りと下りに続く車道があり、そこを下れば確実に国道に出るはずだ。
しかし、再び奴らのキャンピングカーに遭遇する危険性もあるので、あえて森を突っ切る事にした。
街はそんなに遠くない程度に見えているし、周囲も明るいので、まず迷う可能性も少ない。

俺達は無言のまま、森を歩いた。約2時間後。
無事に国道に出る事が出来た。

しかし、着替えもない、荷物もない。
頭に思い浮かんだのは、あの親切なコンビニの店長だった。

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