秘密の兄妹 2
第1章 狂った宴
「昨日、保健室の先生と心理カウンセラーの先生に、紫織が食事を摂れなくなった原因を兄貴である俺の方から聞いてみてほしいって言われた…
で、もしその原因を紫織が俺にも話す様子がなかったら、心療内科に連れて行くべきだって薦められた。」
「…………」
「お前、食事を食べられなくなった原因は自分で分かってるって先生たちに言ったろ?」
「うん…」
私はお兄ちゃんの顔をじっと見て返事をする。
「その原因が、
【レイプ事件のあと、実の兄貴にキスやセックスを全くしてもらえなくなって兄貴に見捨てられたと思って絶望したからです】
なんて、保健室の先生や心理カウンセラーの先生に言えるか?言えねぇだろ?」
「っ…」
私は顔を真っ赤にして頷く。
「登校する時間になったら、俺が保健室の先生に【今日は紫織を心療内科に連れていくから、2人して学校を休みます】って電話でも入れておくから、それでよくね?」
「…………」
「それで明後日、学校に登校したら、俺が昼休みにでも保健室の先生のところに行って、
【心療内科に行った結果、家庭内の問題が色々重なって心が不安定になっていて、それが身体の方にも影響しているみたいだった】
とか何とか適当に言い訳しておく。
これでいいじゃん。」
「…………」
嘘が重なっていく……と、後ろめたい気持ちになって俯く私の身体をお兄ちゃんがシーツごと自分の大きな腕の中に包み込む。
「俺は今日は一日中、紫織と一緒にいたいけど…紫織は違うわけ?」
私の顎に右手を添えて、私の瞳を除き込むお兄ちゃんは優しい表情で微笑んでいた。
その顔を見ていると、心の中に燻っていた後ろめたさは自然と消えていった。
私はお兄ちゃんの背中に両手を回して抱きついた。
「お兄ちゃん、ちょっとお願いしたいことがあるんだけどいい…?」
「何だ?」