秘密の兄妹 2
第2章 紫織の彼氏候補
ーーその頃の学校ーー
「なぁ、風磨。今日、悠人も紫織ちゃんも病院で学校休みだろ?沢村って俺たちとお昼食べんのかな?」
大地が俺の机まで来て、不安そうに尋ねてくる。
「さあ。一緒に食べるならいつもの時間に来るんじゃないのか?」
「んじゃあ、俺、沢村にメッセージ送って確認してみる!!」
「…大地、お前、いつの間に沢村とアドレス交換してたんだ……?」
俺が呆れていると、ちょうどいいタイミングで廊下から沢村の声が聞こえてきた。
「橘先輩、神保先輩、お待たせしました。
今日もお昼一緒にいいですか?
少し話したいこともあるし……」
俺と大地は顔を見合せたあと、頷いた。
★★★★★★
学食で3人で食事をとりながら話をする。
「紫織ちゃん、大丈夫かな……」
大地が心配そうに呟く。
「さっき紫織にメッセージ送ったら【もう大丈夫。明日は学校に行くからよろしくね!】って返信が来ましたよ?」
「そっか…、良かったな……。」
大地がホッとした顔をして俺に同意を求めてくるので、俺も頷く。
「…橘先輩、神保先輩。
2人は紫織の彼氏って人についてどう思いますか…?」
急に真顔で沢村が俺たちに聞いてくる。
「「…………」」
数秒の沈黙が流れる。
「…ろくでもない奴だと思う。」
最初に口を開いたのは俺だ。
「紫織ちゃんの彼氏が他校生なのは聞いてるけど、自分の彼女がレイプされそうになって、あんな精神状態なのに全く姿見せないとか、まずあり得ないだろ。
本当に紫織ちゃんのこと大事に思ってたら、普通ならレイプ未遂した相手の男どもをボコボコにするくらいのことはしないと、俺ならとてもじゃないけど気が収まらない……
正直言って、今の紫織ちゃんの彼氏は、俺からしたら【彼氏】なんて呼べない。」
「……やっぱり、相手からしたら紫織は【彼女】じゃなくて、ただの【セフレ】扱いみたいな感じなんですかね……
もし、そうだったら、私は紫織の彼氏って男、絶対に許せないっ……」
沢村が声を詰まらせる。
「…………」
俺は何も言えなかった。