秘密の兄妹 2
第2章 紫織の彼氏候補
「あのっ、橘先輩っていま付き合ってる人いませんよね…?」
「あぁ、いないけど…」
沢村は暫く何かを考えるそぶりを見せると、おもむろに口を開いた。
「橘先輩、紫織の彼氏とかに立候補する気とかありませんか?」
「…は?なんで?」
「…お似合いだと思うから。」
「………」
「ちょっと待て、沢村!!何でそこ俺じゃないの!?」
大地が身を乗り出して沢村に絡む。
「だって、神保先輩じゃ紫織に全然釣り合わないですもん。」
瞬時に一刀両断された大地は、学食のテーブルに顔を突っ伏す。
「この学校に男女別人気ランキングってあるの知ってますか?」
「…いや」
俺がそう答えると、沢村は「…ですよね」と呟く。
「俺、知ってる!新聞部主催でこっそりとやってるやつだろ?
中等部と高等部の生徒が、毎年春になると一斉に男女別に、学校内で格好いい、可愛いと思う人間を投票するイベント!!俺もいつも投票に参加してるぜ!!」
…大地、相変わらず、くだらないものに参加してるな……
俺は軽くため息を吐く。
「それには【表投票】と【裏投票】があるんです。
【表投票】は普通の投票。【裏投票】は、実はこっそりといいな…と思っている人を投票するんです。
女子部門の【表投票】と【裏投票】は紫織が3年連続で断トツのぶっちぎりの1位。
もはや女子部門に関しては【裏投票】の意味はない!と言われています。」
……紫織ちゃん、凄い人気あるな……
「…で、男子部門の方の投票結果なんですけど……」
沢村は大地の顔をちらりと見る。
大地は何か察したようで、軽く頷いて、横にいる俺に話しかける。
「男子部門の【表投票】は悠人が5年間断トツの1位。これも紫織ちゃん同様に不動。
…でも【裏投票】は、
風磨、
お前が5年連続で断トツの1位だ!
つまりは、陰でお前のことをいいって思ってる奴がわんさかいるってことだ!!
悠人と2人で票を二分してる。」
「…は?俺が?」
「あぁ、お前が。」
「…何で?俺の、どこがいいんだ……」
自分で言うのもなんだが全くの見当違いな気がする。