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秘密の兄妹 2

第2章 紫織の彼氏候補


「一見ぶっきらぼうで怖そうに見えるけど実は紳士的で優しい。
先生からの頼まれ事は面倒くさそうに受けるのに、やることはきっちりやる。
そして意外にも、勉強は学年1位。
全国模試、常に上位。
でも、それを人に言わない。
自慢したりもしない。
近寄りがたくミステリアスな雰囲気が格好いい。」


沢村が一呼吸も置かず、一気にペラペラと話す。


「…………」

「改めて聞くと風磨ってスゲェな……」

「そう。だから私は橘先輩が紫織と付き合うのが一番良いと思ったんです。
紫織の彼氏が橘先輩なら誰も文句を言わないと思うから…」

「いや、付き合うのは難しいと思う。
まず、お互い好きじゃないといけないし、付き合うとなるとある程度の責任と覚悟もいる。」


俺がそう言うと、沢村はため息をつく。


「やっぱり駄目か……」

「…沢村、そういう頼み事は安易に言わない方がいい。」

「いやいや、それよりもまず友達が自分の妹と付き合うなんて悠人が許さないだろ?」


大地が腕を組んで、うんうんと頷く。


「はぁ…、橘先輩ならいいと思ったんだけどなぁ。橘先輩と紫織ってどことなく雰囲気似てるし…
それに、橘先輩は同学年や年上の人より、年下との方が合うと思うんですよね……

あと、先輩はしっかりしてて気が利く上、器用で何でも卒なくこなすから頼り甲斐がある!

ほら、紫織ってああ見えて意外と不器用で危なっかしい所あるでしょう?
この前のレイプ未遂事件がいい例。

そういう所、橘先輩なら上手くフォローしてくれそうだし、何よりも、いつも肩の力を抜けずに【私がしっかりしなくちゃ】って片意地張って頑張ってる紫織のこと大切にしてくれて甘やかしてくれそう…
紫織は一途だから、橘先輩と本気で付き合ったら絶対に浮気はしない。
凄くお似合いなのに……」

「紫織ちゃんのことはともかく、俺のことは買い被り過ぎ…
俺はそんなに出来た男じゃない。」


俺がそう言い放つと、沢村は「じゃあ、紫織はこのまま、ろくでもない男のことを一途に思い続けて不幸になるの決定ですね…」と沈んだ声で言う。


「…………」






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